Jesus at 1980 - Now !

 

ブラディ・ムーン/血塗られた女子寮」 Bloody Moon (1981)


茂みの陰から若者たちを覗き見る主観カメラ、
キャーキャーいってるだけの若い犠牲者たち、
殺人鬼の顔を隠すのは漫画キャラのお面・・・。
脚本上は当時流行のアメリカ産スラッシャー・ムービーの
要素をふんだんに取り入れてるのに、
監督にそのへんのジャンルに対する目配せが
ぜんぜんないので、異様にいびつな仕上がりをみせた怪作。

スペイン語学校の女子寮を舞台にしており、
ディスコシーンやセックス絡みのいたずらシーンなど、
「ポーキーズ」みたいな場面も多いのだが、
フランコはそういうのも全然興味がないのだろう、
女の子たちが終始はしゃいでるのに、
精彩に欠けることと言ったらない。
ナチュラルさがみじんもない。感心する。

マニアの間では有名な石切り場での首切りシーン、
さらに続けざまの少年を車で轢き殺すシーンなども
確かにショッキングだが、あまり楽しんでやってるふうでもなく、
製作「すごいのやってください」監督「あ、そうね」という
感じで無感動な描写の積み重ねだけが続く。
同じくヒロインの上に突然巨岩が落ちてくる場面の唐突さも
ぶっきらぼうすぎて、笑ってしまう。

その反面、事件に大きく関わる姉弟・・・
いつも露出度の高い服を身にまとった学校の女経営者と、
かつて殺人を犯したケロイド顔の弟・・・の近親相姦を絡めた
諸々になると、フランコはがぜんハッスル。
ヨーロッパ的なコッテリした退廃に加えて、
クライマックスでは畳み掛けるような展開を披露し、
やればできんじゃんと感心させる。
でも、そうなるともっと崩れたマッタリ感が
恋しくなるのはファンのワガママか。

かつて日本版ビデオが発売されていたが廃盤。
ドイツでPAL-DVDがリリースされているが、
こちらはドイツ語音声のみ。2003.7.27(継田)

 

Shadow of Judo vs. Dr.Wong(82??)
(La Sombra del judoka contra el doctor Wong)


「燃えよドラゴン」を遺してこの世を去った
アジアが誇るスーパースター、ブルース・リー。
死してなおとどまるところを知らぬその超人気ゆえ、
そっくりさんや偽者、果てはフィルムの残りカスまで
持ち出してのパチもん映画が世界中で粗製濫造されたが、
スペインではやっぱりジェス・フランコが手を出していた。

主役は中国系アメリカ人の格闘家ブルース・リン
(本家B.L.には全く似てない)。
フランコが演じる麻薬組織の大ボスDr.ウォンを追い、
インターポールの捜査員リナ・ロメイと組んで右往左往する。
もちろんフランコのことだから、
カンフーの場面などまるでやる気なし。
味のないフレーミングとスロー&コマ落としには
本当にションボリさせられるが、リンの必殺技・・・瞑想して
ブルース・リーの魂を呼び出し、自分のかわりに敵と戦わせる
・・・を見せられたときは、最初意味が分からなくて
とても気味が悪かった。

なにしろ接触不良のアンプが立てるような
電気的ノイズと共に、リンの影(光学合成とかじゃない、
本当にただの影)がヌ〜ッと伸び、悪党どもをなぎ倒すのだから。
アイランプ一個で出来ちゃうお手軽SFX!
こんなにリーズナブルでオブスキュアーなアイディア、
真面目なアクション監督には一生思いつけないだろう。

真面目でないフランコは、本作でもいつものごとく他の映画からの
使い回しを平気でやっている。しかも70年代の台湾映画と思しき
フッテ―ジを使っており、つながりの相性が悪いことこのうえない。
場面によってはモンタージュが全く意味を成しておらず、
突然カーター・ワン(「ゴースト・ハンターズ」)の
笑顔がポンと挟み込まれてギョッとする。
観ているこちらの不安感はつのる一方だが、
フランコはいい気なもので、Dr.ウォンに扮した場面では
ピアノの演奏や長台詞を延々と披露。
わざとらしいアジア訛りのスペイン語が不快だ。
この当時どんどん横幅を増すリナ・ロメイの
サービス・ショットでは、旦那の不手際を
緩和するには厳しい。露出も殆ど無いし。

しかし、そんなボロ雑巾を寄せ集めたパッチワークが
結果的に味わいのあるフランコ模様を描いてくれるのである。
それがただの巨大な雑巾でしかないとしても、だ。
99年には続編の「Dr.Wong'sVirtual Hell」まで
作ってるんだから、偉いじゃないか。

ちなみにこの映画の製作年度に関して
82年や85年などいくつかデータがあるが、
画面の雰囲気からして82年が正しいと思われる。
同じくブルース・リーの墓に泥を塗る大怪作
「クローン人間ブルース・リー」が製作された年でもあるが、
どちらも金や労力を費やしてまで観る必要など
全くない作品であることを記しておきたい。
2003.8.4 (継田)

 

 

Killer Barbys1996


グルリと一世代回って若いもんにチヤホヤされるようになったジェスが、
スペインの人気ロックバンドKiller Barbys(来日経験有り、
日本盤CDも有り)に依頼されて監督したガジェット的ホラー。
ツアー中のKIller Brbysがバンパイアの館に迷い込み、
生け贄を求める伯爵婦人のために次々と犠牲になる。

熟女ヌード+血まみれオナニーまで披露する婦人役に
マリアンジェラ・ジョルダ―ノ。「ゾンビ3」(80)で
おっぱい食いちぎられてた女優さんだが、あれから16年、
本作でも体を張って見せ場を披露してくれる。

さらに素晴らしいキャラとして召し使いのマリオと
彼をパパと慕う小人二人組ピパ&ピポも登場。
マリオ役の人はなんかチャップリンの孫らしいが、
ここではご主人様に忠実な殺し屋兼人肉加工係。
彼ら3人組はとても仲が良く、マリオが
「ロックンロール!」とか叫びながらドラムセットを
めちゃくちゃに叩き、ピパ&ピポがキャッキャッと踊り狂う
場面はとても微笑ましい(しかもその直後に爆殺)。
また、彼らの職場である屠殺場は白々と差し込む
陽光に照らされて首無し死体がゴロゴロ。広い空間を
贅沢に使ったこのエクストリームなセットも見せ場のひとつ。


バンドのボーカルでヒロインのシルビア・スーパースターは
露出度の高い衣装でがんばる。オープニングのライブ・シーン、
紐みたいなビキニで歌う彼女は素晴らしいが、
それをジッと見つめる謎の男・・・というおなじみの演出には二ヤリ。
かつてのストリップがロックバンドのライブに変わっただけで、
ジェスの語り口は不変なのだ。

そんな感じでけっこうオーソドックスに60〜70年代における
自身の演出を再現し、かつ若手のパワーでゴア描写も徹底してるので、
結果コンパクトで憎めないC級ホラーになっている。
本編終了後にダラダラ流されるライブ映像もいい湯加減で、
企画もののロック映画としては満点に近い出来ではないだろうか。


米のShriek ShowからDVDが発売されており、
こちらはKillerBarbysのプロモなど盛り沢山の内容で楽しめる。
オリジナルのスペイン語と英語による吹き替えが収録されているが、
やはり原語による鑑賞をお勧め。2003.7.31(継田)

 

 

Mari-Cookie and the Killer tarantula
(Eight legs to Love you) (
1998)


ジェス・フランコがアメリカ資本のもと監督した
ビデオ撮り作品。リナ・ロメイが熟れきって腐り落ちる
ド迫力ボディを惜し気もなく披露し、製作国の
(元)スクリーム・クイーン、リネア・クイッグリーと
ミッシェル・バウアーがサイドを固める。
それだけではちょっと渋すぎると思ったか、
さらには「Tender Flesh」(97)でがんばった
若手アンバー・ニューマンも投入。
そんな豪華女優陣を揃えつつも、結果的には見せ場は
リナ・ロメイの全裸ダンスが中心・・・という
非常に微妙な作品となった。

ストリップ・クラブの女経営者マリ=ク―キー(ロメイ)は
タランチュラの化身。気に入った客を自宅に招いては性交し、
後に糸で絡めて食い殺す。娘(ニューマン)を誘拐された
母親(クイッグリー)と女保安官(バウアー)は
マリを追求するが、彼女には隠された秘密があった・・・。
バウアー扮する女保安官はトップレスにガン・ホルダーという
「ハレンチ学園」もどきの衣装で活躍。
クイッグリーは水着姿程度でほとんどお色気無しだが、
かわりにDVD特典に全裸で登場。その格好のまま
カット・シーンを解説している。大変結構だが、
しかしやっぱり本編でちゃんとしてもらわないと・・・
歳のせいもあるのだろうが・・・いくつになっても
脱ぐことに何の躊躇もないロメイもアレだが。

全編通して男はほとんど出てこないが、撮影するのも
イヤだったのか、俳優によっては数秒ほどのショットを
何度も何度も使い回される。劇場用作品時代から
フランコお得意の手法ではあるが、ビデオという
お手軽な媒体を得てそのテクニックはさらに過激化。
ミュージカルもどきのシーンで見られるショットの
サンプリング的使用は、ちょっと気持ち悪くて驚く。

驚くといえばロメイが変身する蜘蛛のミニチュア。
市販のゴムのおもちゃにロメイの顔写真をはっただけという
その造型は、若手のインディーズ作家がやったら
そのあざとさに不快だが、ここはフランコ、
年の功というかなんというか、怒る気にもなれない。
しかし安いテクノ調の曲が流れるなかその蜘蛛が踊る
(糸でつられてブラブラする)タイトルバックは、
薄暗くもビビッドな画面といい、南国調の書き割り背景といい、
やっぱりいいなあと思ってしまうのだった。

DVDは米のSUB ROSAから。特典にヨーロッパ・バージョンや、
スペインのインディーズ系エログロ短編など。
2003.7.27(継田)

 

 

 


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