Jesus at 1950 -1969

 

DIABOLICAL DR. Z (MISS MUERTE:1966)

車椅子のマッド・サイエンティスト、
ジマー博士と娘のイルマは洗脳マシーンを開発している。
刑務所から脱走した凶悪犯を使った人体実験に成功し、
研究を学会に報告するジマー博士。
しかし識者たちは口を揃えてその非人道性を非難、
博士はショックで心臓発作を起こし、死んでしまう。
復讐に燃えるイルマはストリップダンサーを誘拐、
洗脳して殺人マシーンに仕立て上げ、その色香を武器に
父親の仇敵たちを次々と血祭りに上げていく。

コントラストの強い白黒画面がムードを盛り上げる
フランコ初期の傑作。その後「シー・キルド・イン・
エクスタシー」でも使い回される科学者の死に対する
復讐というコンセプトを筆頭に、美女の皮膚移植手術、
マネキンと絡むセクシー・ダンス、黒衣の巨体
殺人鬼といった持ちネタが満載。

エログロ描写も強烈で、首筋にブス〜ッと突き刺さる電極、
自動車で跳ね飛ばされて焼かれる女、
全身タイツ姿で延々と追い回されるダンサー等など、
強烈な印象を残してくれる。
復讐される科学者の一人におなじみハワード・バーノン。
前述の「シー・キルド〜」と全く同じ役柄で、
海外のレビューでは「こっちでは死ぬとき
ヌードでなくてよかった」なんて書かれてました。

重要なアイテムとなる洗脳マシーンは、
醤油ポンプをつないだきデザインといい、
如奇怪な作動音といい、かなりショッキングな出来。
その製作者であるジマー博士はなんとオルロフ博士の
弟子という設定で、かつて透明の発情ゴリラを作っていた
師匠といい(「Dr. Orloff's Invisible Monster 」'71)、
ロクなことをしてませんな。

US盤DVDはワイドスクリーンで英/仏音声、英語字幕有り。
特典多数で、イギリスのテレビ番組から抜粋した
フランコのドキュメントも収録。2003.7.27(継田)

 

 

悪徳の快楽(1969)
Eugenie ...
the story of her journey
into perversion

 


サドの原作を下敷きにした60年代の
フランコ作品における傑作のひとつ。
毒婦(マリア・ローム)がサドの
「閨房哲学」を読みふけり、
登場人物ドルマンセの教えに乗っ取り
愛人の娘ユージェニー(マリー・リリエダール)を誘惑、
弟(ジャック・テイラー)と共に孤島の別荘で調教し、
悪徳の快楽を叩き込む。

「早熟」(67)で一世を風靡したリリエダールの
肢体がプリップリ。はっきり言って健康的すぎて、
いくら犯されようが痛めつけられようが
悲壮感がまるで無いのがおかしい。
むしろ陽光の下、全裸で芝生に寝そべる場面などの
開放的なショットのほうが、彼女の魅力を
良く伝えているのかも知れない。
ここでは妖艶なマリア・ロームと
オイルの塗りっこをしたりして、
前半で最も目を引くサービス・シーンではある。

ちなみにBLUE UNDERGROUND 版DVDの特典には
現在のリリエダールが登場、
インタビューに答えているが、これは…。

クリストファー・リーが小説中の人物
ドルマンセとして出演。姉弟とユージェニーが
麻薬でトリップする中、他の登場人物たちとともに
亡霊のごとく現れ、三人にさらなる悪徳の世界への
引導を渡す。薄暗い海の上、彼らがボートに乗って
音も無く別荘にやってくるショットは後の惨劇を予感させ、
鬼気迫る素晴らしさ。
ここでは素直にフランコの非凡さを感じることができる。

もうひとつ本作の白眉は、姉弟が麻薬で酩酊状態の
ユージェニーを拷問するシーン。
ドルマンセたちが見守る中、ブルーノ・ニコライの
素晴らしすぎるスコアが盛り上がり、
姉弟はムニャムニャとか言っているユージェニーを
ムチと棘付き鉄球でボコボコにぶっ叩く。
あっと言う間に傷だらけ、血まみれになり、
絶叫するユージェニー。ここもまた、
観ているこちらの血が滾る名場面である。

ワイドスクリーンの画面を活かした
ロケーション重視の画作りは、
全編に漂う濃厚な気だるさを増幅させて、
観ていて心地良いことこの上ない。
ジャック・テイラーがブラインドの開け閉めで
ユージェニーを恍惚状態にするシーンなど、
スクリーン一杯のブラインドとその彼方に輝く夕日が
画面全体を赤く染め、こちらの精神も
どこかに持っていかれそうなヤバさ。
ワイドレンズの不備からかピンぼけショットも多いのだが、
それでも70年以降の諸作品におけるラフすぎる撮影を思えば、
文句のつけようがない素晴らしさである。
一度劇場のスクリーンで観てみたいものだ。

先に述べたDVDの特典にはフランコ本人も登場。
製作当時の思い出を語る。ヒットした作品なためか
結構記憶がハッキリしている様子で、
ドルマンセ役を予定していた俳優が事故死したため
急きょC.リーにオファーした話など、
具体的なエピソードが色々聞ける。
「私は賞なんか欲しくない。
田舎の映画館が一杯になって、
観客が楽しんでくれればそれでいい」と
活動屋魂溢れる台詞も吐いてくれるが、
しかし…。ジェス・フランコという人と
作品を考えるに、その台詞に素直に快哉を
叫ぶ気持ちにはちょっとなれないのであった。

2003.9.10(継田)

 

 

Justine VS Justine

 

 

 


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